Ryu's Cafe ~限りなく村上龍のことを知るカフェ~ ア行 忍者ブログ
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その鋭い独特の視点と多彩な才能で、小説だけでなく各分野で活躍するアグレッシブな寓話作家の一人である村上龍の作品をとりあげています。

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歌うクジラ 上歌うクジラ 上
村上 龍
講談社 刊
発売日 2010-10-21
オススメ度:★★★★★




生きる上で意味を持つのは,他人との出会いだけだ。そして移動しなければ出会いはない。移動がすべてを生み出すのだ。 2010-10-26
 人類がついに不老不死のSW遺伝子(Singing Whale)を発見した22世紀の世界。
SW遺伝子は限られた一部の選ばれた人間に応用され,その反作用として犯罪者には急激に老化を促進させる方法が取られた。
文化経済高率化運動により,食事や笑顔や敬語が害悪とされ,人々の徹底的な住み分けがなされた日本。
もっとも最下位の層の犯罪者が住む九州北西部の新出島で暮らす15歳の少年アキラは,死の直前の父のため,SW遺伝子の秘密が入ったマイクロチップを,ある人物に届けるため新出島から出ることを決断する・・・・。
 この設定だけでもワクワクしてしまう村上龍の新作は,i-Padで先行発売され話題になったが,i-Padを持っていない私は,本が出版されるのを今か今かと楽しみに待っていた。

 その圧倒的な戦闘の描写力は,「五分後の世界」や「半島を出よ」同様すさまじく,目を覆いたくなるような残虐なシーン,嫌悪感を感じる描写もあるが,100年後の日本が舞台であり,リアリティーある造形物の描写やその想像力には驚かされる。

 そして,なによりも個性ある登場人物が多く登場するところが,この作品の魅力だ。

 15歳の少年アキラと行動を共にするサブロウさんは,クチチュと呼ばれる突然変種の人間だ。耳の後ろに小さな穴があり,触ると死に至るような猛毒の液がそこからにじみ出ている。

 アンという女性は,反乱移民メンバーの子孫で,グループのメンバーともに助詞をむちゃくちゃにした日本語をしゃべる。敬語が禁止されて長い日本において,敬語が使えるアキラは貴重な存在としてメンバーに受け入れられる。
飛行自動車の運転手ネギダールは,猿と中国人のDNAを組み合わせて生まれた女性だ。
少年アキラは,いろいろな人物と出会い,別れ移動を続ける。

 15歳という年齢は,移動を開始するのにもっとも適した年齢なのかもしれない。(そういえば,村上春樹の傑作「海辺のカフカ」でも15歳の少年が移動することによって物語が始まりましたね)


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美しい時間 特別書き下ろし小説(ケース入り2分冊)美しい時間 特別書き下ろし小説(ケース入り2分冊)
村上 龍 /小池 真理子
ベストセラーズ 刊
発売日 2006-11-21
オススメ度:★★★★




大人におすすめします。 2007-03-04
小池真理子さんのファンなので、この本を手に取りました。
でも何故か村上龍さんの「冬の花火」のほうを興味深く読みました。
主人公の知人の死の真相が、わたしには最後までよくわからなかったのですが、 それはそれでいいかなと思わせるほど、大人な小説です。
全体に流れている、この年代でしか理解できないさみしさ、つらさを描いています。
50代、60代になってから読むとまた違った理解の仕方があるかと思いました。

小池真理子さんの作品はすべて読んでいますが、 この不思議な長さの小説は中途半端な感じがしました。
いつもの切ない長編か、小気味の良い短編か、 どちらかであったなら納得がいったのですが。

美しい本。 2007-01-14
美しい本です。小説自体が良いだけでなく、本文に雰囲気を表現したカラー写真や絵が多数使われており、淡いブルーとピンクの表紙も美しい。軽いしソフトカバーで持ちやすく、別の方も書かれているとおりコーヒー片手に飲みながら読める造本。中身を読む前に本づくりのこだわりを感じて嬉しくなりました。

小池真理子さんの『時の銀河』は、一場面一場面の情景とその展開がショートフィルムのように心地良く流れていきます。登場人物の心理や気分、その場の空気感が伝わってくる、とでも言えばいいでしょうか。ほろ苦さや切なさに満ちていながらも、ガラス窓の外に「青白く透明な月の光が射している」ように、これからも続いていく“美しい時”への予感を湛えた一作。

村上龍さんの『冬の花火』は、ワインやステッキや料理などこまごました情報量が多めで、個人的にはもっとシンプルで良いのに、と思ってしまいましたし微妙に浅薄な印象を受けましたが(それで星一つ減らして4つ)、それはそれで味わいもある佳品でした。

コーヒー片手に… 2006-12-01
ネスカフェゴールドブレンド25周年記念キャンペーンのために書き下ろされた二つの恋愛小説。村上龍氏の男性の視点で書かれた恋愛と、小池真理子氏の女性の視点での恋愛。どちらも中高年を主人公にすえ、人生を振り返りつつ、でも未来をも予想させる渋い仕上がり。
どちらもコーヒー1杯を飲み終えるまでに読破できる、手軽な書といえます。

素敵な絵や写真もちりばめられて、ゆったりとした時が過ごせる事請け合いです。価格はちょっと高いと思うのですが、お洒落な装丁にまあ、こんな本があってもいいなと、自分を納得させた次第。


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案外、買い物好き案外、買い物好き
村上 龍
幻冬舎 刊
発売日 2007-11-22
オススメ度:★★★




楽しめました 2008-05-29
他のレビュアの方も仰っている通り「案外」どころか「相当」買い物好き、ということが分かります。
作家による買い物エッセイでは林真理子さん、森瑤子さんなど あげられると思いますが、林さんよりは森さんに近い印象。
とんでもない大人買い、とんでもない量を買い、 とんでもない金額を払っている。
林さんのエッセイではそこに食傷、辟易してしまったのだけれど、 不思議と龍さんのエッセイではそれは感じません。
なぜでしょう?

値段が分からないまま買って「このTシャツが1枚 ○○円?」なんてやっている。
ま、私じゃやらないし、出来ないな、と思わせられる買い物を 読む分には楽しいです。
サッカーや中田英寿さんの話題がたくさん出てきますが、 そのへんは不調法であまり分かりませんでした。
女性よりは男性が読んだ方が楽しめると思います。
女性の私でも十分楽しめましたが。

世界各地で「大人買い」をしている気分を味わえます。 2008-04-27
○読み始めたきっかけ
村上龍の経済関係の書籍が好きでよく読みます。小説はテイストが合わないので 苦手です。以前、講演会で本人を見る機会があったのですが、その時に物事を率直 に言う姿勢に好感が持てました。

○心に残る言葉
・長袖の青いシャツが、お洒落の基本・・・私も休日用のシャツが欲しくなりました。
p.91 小物や置物が、単に装飾のためでなく旅の記憶を喚起することに初めて気がついた。
p.191 真に裕福なアメリカ人は、インターネットなどやりたがらないものらしい (マウイにて)。

○どんな人に読んでもらいたいか。
まさに「大人買い」の極致でしょう。欲しかったら、値段にかかわらず買うという 姿勢。買う店を決めて、そこで集中して買うというのはいいですね。私も気に入った ブランドやシャツなどは複数の色を同時に買うこともあります。
日曜日の午後にお風呂に入りながら、窓を開けてお気に入りの音楽をかけてのんび り読むのに適した本です。読みながら世界各地で大人買いをしている気分を味わえます。

ペルージャのブローチ 2008-03-16
「半島を出よ」ファンにとっては、この本の「穴が空いているセーター」を読むと、何とも感無量な気分を味わうはずだ。そして、この秀逸な科学論文と人類を救う詩を足して2で割ったような小説を書き、一方で、3000ユーロのシャツ代請求額に「ぼられている」かもしれないと思いつつそれを聞きただせないまま震える手でクレジットカードを差し出す村上龍という人が大好きだ、と思ってしまう。村上作品を読むと作品毎に必ず鮮明に印象に残るモノがある。この本では、ペルージャの骨董市で買ったというブローチだ。今は村上氏の仕事机の上に置かれているというそのブローチ、いつか見てみたいなあ。あと、150ユーロの特別扱いのTシャツは、「買い物の神」に見放されないようにするためにも、一枚くらいは読者プレゼントにすべきと思います。


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悪魔のパス 天使のゴール (幻冬舎文庫)悪魔のパス 天使のゴール (幻冬舎文庫)
村上 龍
幻冬舎 刊
発売日 2004-01
オススメ度:★★★




二つの意味で不満が残る 2008-08-23
 村上龍さんが書かれたサッカーを題材にした小説。当初掲載されたのが中田英寿さんのサイトであったこともあり非常に話題になった。
……と、まぁこれだけ書けばこの作品の紹介はできるでしょうか。
 導入部は欧州サッカーに密かにはびこる謎の薬品に日本人サッカー選手・夜羽が気づき友人の矢崎に告げるミステリの要素たっぷりの展開で、グイッと首根っこを捕まれたように引きつけられてしまいます。サッカーとミステリなんて有りそうで無い結びつきで、グイグイと読み進めていくのですが……中盤あたりでミステリ的な要素はドンドンと失速していき、気がつくとなんだか紀行文のようなお話に、うーん不満が残るなぁ。

 高く評価されている終盤のサッカーシーンも、もう謎の薬品はどうでも良くなっているんですよね。おぉ、サッカーの試合の一部を巧く切り取っている、夜羽とユヴェントスの対決をじっくりと描いているなぁと思っていたのですが……あれ、number誌の記事を読んでいるんでしたっけ? と思ってしまった時点で、ちょっと冷めてしまいました。
ミステリ部分いらないよなぁ、これなら。

 サッカー小説と言えば野沢尚さんの『龍時』が読みたくなってきたなぁ。

嫌味な文体ですが、読者を引っ張る巧みさはさすが 2008-07-06
 リュウ先生のサッカー小説です。
夜羽冬次=中田英寿、メレーニア=ペルージャ、=リュウ先生、読み始めると即わかります。
「僕、ヒデ君といつもこうやっておつきあいしてるの」てなもんで。嫌味だねぇ。
舞台は1999-2000シーズンのセリエA。メレーニア以外のチーム、選手は全部?実名。
ペルージャのところにそっくりメレーニアをはめ込んで、リーグ戦は進展する。  伏線に謎のドーピング剤アンギオンの存在が。
設定、展開はきわめて安易。結末はいい加減。
 でも、読ませます。

 いつものように嫌味な文体ですが、読者を引っ張る巧みさはさすがにリュウ先生。
村上龍の作品群の中では、駄作の部類かもしれません。
でも、日本人の手になる数少ないサッカー小説としては、かなりのもんでしょ。
というか、クライマックスのメレーニアVSユーヴェの描写は、スサマジイ。
「これがサッカーを描いた小説だ」と自画自賛しているだけのことはある。嫌味だねぇ。
現実の好ゲームをビデオ見ながら描写してもああは書けない?
ようするに、が書きたかったんでしょうね、センセイは。ストーリーじゃなくてね。

一読しておけば話のタネには十分、なります。


サッカー小説 2008-03-24
ストーリーとしてはたいした話じゃない。
でもサッカーを小説化した村上龍の功績というか、チャレンジング試みは少なからず意義がある。
特に「五分後の世界」のラスト100ページ以上に渡る衝撃的かつ革命的かつ最高の描写を髣髴とさせる、ユベントス戦の描写は圧巻。
そこにはリアルで壮絶な「サッカー」がある。
そこには全盛期のジダンがいてデルピエロがいてダーヴィッツがいる。
主人公は完全に中田英寿をモデルにしている。
中田にしか見えない。

この小説を読んでいて思ったが、やはり日本は今のままでは一生W杯で優勝できない気がする。
サッカー=文化という体系にならない限り。
ヨーロッパ・南米の国々にとってサッカーは文化でありLIFEそのものなのだ。
地元のクラブチームの勝利に一喜一憂する度合いが尋常じゃない。なんせ人が死ぬくらいなんだから。
そんな人間達にたかが数十年の歴史のリーグを持つ国がで勝てるはずが無い。
レッズのように帰属性を感じられるクラブ作りから始めるしかない。


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読書(ビジネス書・小説)・ネットサーフィン・スノボー
自己紹介:
学生の頃から村上龍のファンで「コインロッカーベイビーズ」に衝撃を受け、「五分後の世界」「愛と幻想のファシズム」「半島を出よ」などの構築系の作品が大好きです。最近の龍さんの興味は経済にシフトしていますがものすごく勉強になってます。
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