Ryu's Cafe ~限りなく村上龍のことを知るカフェ~ 半島を出よ (下) |村上 龍 忍者ブログ
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その鋭い独特の視点と多彩な才能で、小説だけでなく各分野で活躍するアグレッシブな寓話作家の一人である村上龍の作品をとりあげています。

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半島を出よ (下)半島を出よ (下)
村上 龍
幻冬舎 刊
発売日 2005-03-25
オススメ度:★★★★




おもしろかった  2008-07-19
上巻同様、北朝鮮側の面々、日本政府の面々、そしてホームレスの人々の生い立ち、キャリア、視点などが詳細に描かれ、物語の背景も細かく作り込まれている。ただ、登場人物が武器の説明を延々としたかと思うと、あっと言う間に死んでしまったり、スピード感は上巻よりも損なわれているような気もする。ボリュームの多い大著ですが、読後感は爽快。

生き延びろ。 2008-03-16
この小説は私が今まで読んだ本の中で最も感動したものの一つであるが、だからこそ読み終わった時点は、書評を書くとかそういうレベルのことができない。これは、村上龍氏の小説を読んだ直後に感じる共通の事象だ。いま、かなり長い時間を経てこの小説のことを不意に思い出し”あの、鮮明に印象に残っている文章をもう一度読みたい。”と本棚からこの本を取り出しページをめくり、線を引いた多くの箇所をたどった。その部分は、下巻142ページと159ページに記載されている、スリョン中尉の父親の言葉だった。「スリョン、よい詩を書くことができる人間になりなさい、読む人の側に立った詩を書くんだよ。」村上龍氏の小説には、暗闇の中に細く力強い一筋の光がさす部分がある。その部分に救われたマイノリティーに属する人間の数は、少なくないはずだ。

リアルな絶望感と未来への希望 2007-08-26
この「半島を出よ」という作品は、上巻と下巻で少しスタイルが違っていて、上巻が徹底的にリアルな想像を元に執筆された話であり、下巻はエンターテイメント性を重視した物語へと展開される。それ故、若干上巻・下巻で読者として戸惑ってしまう部分はあったが、全体的にとても楽しむ事が出来た。話のボリュームは多いけれど、作品通してスリリングな展開が広がり、飽きずに読ませてしまうのはやはり流石だと感じた。


この下巻は何も有効な対策が取れない日本の政府やメディア、そして諦めに支配された風潮に代わり、社会のはみ出しモノ達が北朝鮮のテロリスト達に対し、必死の抵抗を行うという話がメイン。前述したように上巻とのスタイルが少し違う為に、期待を裏切られる読者も多いかと思うのだけれど、一貫した村上龍の意志は受け継がれているし、本来彼の小説はこういった壮大なスケールをもった物語こそが持ち味だと思うので、僕自身はこういうやり方は上手くはまったというように思えた。ただ、あまりにも話に無理がありすぎる部分も多い為、以前の名作に比べると若干物語りの信憑性が薄いと感じる部分があった事も否めなかった。


物語重視故に、上巻に比べると、この下巻は魅力的な人物が多数現れる。北朝鮮軍のブレイン達、占領された福岡の果敢な人間達、そしてはみ出しモノであるイシハラグループのメンバー達。緻密な人間描写と彼らの生き様、状況が変わるにつれて変化する心理描写等、とてもスリリングで読み応えがある。傍目では優秀な人間でも、色々な葛藤や驚き、そして弱さを持っていて、そういったものに対し果敢に挑んでいく姿は、やはり美しいし、僕自身力を与えられる部分でもある。ラストがあまりにも綺麗に決まりすぎていて、何処か矛盾を感じてしまうのが勿体無いのだが、あまりにもリアルで残酷な現状を暴き出してしまった上巻に対して、未来への希望というものを村上龍自身、最後に示したかったのではないのだろうか?そんな風にも思えた。


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プロフィール
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男性
趣味:
読書(ビジネス書・小説)・ネットサーフィン・スノボー
自己紹介:
学生の頃から村上龍のファンで「コインロッカーベイビーズ」に衝撃を受け、「五分後の世界」「愛と幻想のファシズム」「半島を出よ」などの構築系の作品が大好きです。最近の龍さんの興味は経済にシフトしていますがものすごく勉強になってます。
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