Ryu's Cafe ~限りなく村上龍のことを知るカフェ~ 忍者ブログ
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その鋭い独特の視点と多彩な才能で、小説だけでなく各分野で活躍するアグレッシブな寓話作家の一人である村上龍の作品をとりあげています。

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希望の国のエクソダス (文春文庫)希望の国のエクソダス (文春文庫)
村上 龍
文藝春秋 刊
発売日 2002-05
オススメ度:★★★


???バブル崩壊の2年前、著者は『愛と幻想のファシズム』で、戦後日本が作りあげてきたシステムに拮抗する「狩猟社」を登場させ、世界経済と格闘させた。13年後、教育をテーマにした本書で、著者は再び経済と出あう。金融経済の専門家、文部省官僚などへの3年にわたる徹底した取材から、正確な情報に裏打ちされた話題の超大型長編。
???2002年、失業率は7%を超え、円が150円まで下落した日本経済を背景に、パキスタンで地雷処理に従事する16歳の少年「ナマムギ」の存在を引き金にして、日本の中学生80万人がいっせいに不登校を始める。彼らのネットワーク「ASUNARO」は、ベルギーのニュース配信会社と組んで巨額の資金を手にし、国際金融資本と闘い、やがて北海道で地域通貨を発行するまでに成長していく。
???少年犯罪の凶悪化、学級崩壊など、さまざまな教育問題が噴出し、「学校」「文部省」「親」と責任の所在をたらい回しにする世間を尻目に、子どもたちは旧来の前提に縛られた大人の支えを必要としないことを立証する。『愛と幻想のファシズム』では、システムの破壊を目的とした狩猟社は、その過程で自身がシステム化していくという自己矛盾を抱え崩壊した。「ASUNARO」もまた崩壊の予感が示唆されているが、今回、著者はその手前であえて筆を置く。子どもたちには「希望」を与え、大人たちには「絶望」を突きつける。「ASUNARO」に拮抗するシステムを、今度は社会や大人たちの側が提示する番である。(中島正敏)

真面目だった村上龍 2009-09-08
村上龍については、「鼻もちならないバンカラ」という一方的な思い込みを 長い間持ち続けていたわけですが。
このところテレビ番組「カンブリア宮殿」を見るにつけ、真剣に国を憂う おじさんとしての村上龍に、意外な親しみやすさを見つけるにいたったと。

当てずっぽうで読んでみた一冊でしたが、これは間違いなく「真剣なおじさん」に なってから書いた作品ということがよくわかります。「初期の村上龍のほうが もっとむちゃくちゃでよかった」とこぼす人は、私の身の回りにもいました。
日本の中学生80万人が一斉に学校に行かなくなり、ネットワークを通じて 連携をとって、次第に資金力発言力を高め、最後には北海道に移住する というファンタジー。この過程が、現代の経済の実態に即して描かれているので、 かなりしっかりした経済講義が作品中に頻繁に展開されることになる。

講師は主人公の恋人由美子。主人公との子を堕胎した喪失感を埋めようと するかのごとく経済の勉強をはじめ、ライターとして精力的に活動している。
新聞を読んでぼんやり経済の話が分かるというレベルでは、かなり難しく 感じると思うし、主人公もライターの割には経済音痴という設定のようで、 由美子の話を呆然と聞くこともしばしばだ。著者としても、読者が主人公の ように呆然と読むことを想定しているんじゃないだろうか。

そんな斜め読み混じりの読後、印象に残るのは、中学生の集団不登校、 経済への大きな影響力についての、日本人の反応の鈍さの描き方だ。
別に村上は、読者に経済の勉強をもっとしろということが言いたいのではなく
(ちょっとは言いたいのかもしれないが)、いろいろなことに対しての 危機感や感受性が日本では摩耗しすぎているのではないかという焦燥 こそを表現したかったのではないか。

ま、自分で理解できた部分をつなげるとそういう解釈になってしまう だけなのかもしれないが。わかんないところは主人公と同じように、 素直に呆然としましょう。生真面目に読まなければ、結構面白いと思う。

「僕らの七日間戦争」頭いいバージョン 2008-10-24
ある中学生が中東で民兵組織に入ったというニュースがきっかけで 日本中の中学生が反乱を起こし、ビジネスを立ち上げる そういう有り得ないような事でも、経済の事を書いてあるんで現実感がある でも何かちょっと、ありきたりなんだよなぁ
「5分後の世界」みたいなグネグネしたのを求めてたからかもしれませんが。
すごいと思ったのは、2000年に出た本(単行本)なのに 経済に関して予言かと思う位、この物語通りに今の世界が進んでいること。
『希望の国のエクソダス』取材ノートもあるようなんで、読んでみようかな

不景気 2008-10-21
経済学の勉強勉強。
大学の授業より100倍まし。


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五分後の世界 (幻冬舎文庫)五分後の世界 (幻冬舎文庫)
村上 龍
幻冬舎 刊
発売日 1997-04
オススメ度:★★★★




主人公を通して日本人の覚醒を訴える作品 2009-08-14
 大胆な設定による、もうひとつの未来を描いた作品だ。

 世界情勢の設定が大胆である。本書の中で紹介される日本史の教科書に、その設定が詳しく解説されているが、「もし本土決戦を行わず、沖縄を犠牲にしただけで、大日本帝国が降伏していたら、日本人は「無知」なままで、生命を尊重できないまま、何も学べなかったかも知れません。」このフレーズがすべての始まりであり、物語の原動力であることは誰も否定しないだろう。

 列強による分割統治、国内で続くゲリラ戦、地下に儲けられたゲリラの国家、先端の科学技術・・・、これらのモチーフは近未来史テーマの作品で扱われているかも知れないが、本書はその世界に突然放り込まれた主人公がいかに自分の立場を受け入れて、覚醒していくかを描いていている点が大きく異なるだろう。この点では「裏・戦国自衛隊」と言えるのではないだろうか。

 軍人の行動や兵器の扱い、そして戦闘や死傷者の描写は非常に克明で、映像化は難しいなと思わせるが、これを細かく書き込むことで、主人公の置かれた状況が非常にリアルになっている。



こんな「五分後」、やです。 2009-08-06
小田桐はいつのまにか、自分がもといた世界とはまるで違う「五分後の世界」にワープしてし まったことを知る。何も知らぬままその世界に放り込まれた彼は、その苛酷で劣悪な状況を、 わずかな情報と体力だけを頼りにサヴァイブしていく…

この作品はあるパラレルワールドを描いている。もしあのときああしていなければ、現在の状況 はまるで別の様相を呈していたかもしれない。そういう想像遊びというのは、僕も子どもの頃から 好きではあるが、本書のテーマとなっているのは「日本」である。日本が「あのとき」、ああしていな ければ、どうなっていたか。村上龍はそれを想像する。
ただ小説の中盤、その「あのとき」という分岐点から「五分後の世界」の歩んだ道程が、「国民 学校小学部六年教科書」という形でいっきに読者に提示されるのだが、著者のあとがきでの 語調とは裏腹に、その箇所によってこの作品の小説としての「限界」が露呈したような気がし た。あれは小説ではなくて、単なるシミュレーションだ。

それはさておき、きわめてメッセージ性の強い内容と時期(日本が「金しか出さない」と批判 を浴びた湾岸戦争期)に出版された本作を通して、村上龍はどちらの世界を支持するのか、 僕は結局よく分からなかった。
あの日、日本が降伏していなければ、ひょっとしたらこういう世界になっていたのかもしれない。
では、書いた当の彼自身は「こうならなくてよかったね」なのか「こうだったらよかったのに…」 なのか。そこんところが、よくわからない。

確かに、作中で小田桐は自分がもといた世界、つまり実在する戦後日本を吐き捨てるように批 判し、また反米や、日本の技術主義賛美に読める箇所もある。文芸評論家の斎藤美奈子も村上 がこの作品でアメリカの属国としての日本の屈辱を表現しようとしているみたいなことを書い ていた(『文壇アイドル論 』参照)。
しかし、そうなのだとしても、これを読んだ僕には、地中深くに巣ごもり、国連軍と終わりの 見えない殺戮を繰り広げる「五分後の世界」の側の日本にこそ、すこしも魅力的には感じなか ったのだが。。

と、こんなこと書いたのが蝉の音のうるさい夏の日の某日というのには、別に意味はない。
たまたまです。


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限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)
村上 龍
講談社 刊
発売日 1978-12
オススメ度:★★★★




突き放される 2009-12-01
退廃的に日々を消化する若者たちの物語。
酒、タバコ、ドラッグ、暴力、セックス……退廃を象徴する様々な要素が登場し、主人公の目線で語られるのだけど、読者である私とその世界はどこか遠く、また主人公とその世界さえ遠いものに思えます。
暴力やセックスといったセンセーショナルなものまでどこか淡々と流れるように進んでいくその突き放され感が心地好い。他人の生活なんてそんなもんか。物語にどっぷり浸かりたい人には不向き。

限りなく日常に近い非日常 2009-11-25
ドラクエシリーズをやったことのある人は「はい」と「いいえ」以外の自分の意思表示ができないことにイライラしたり、「いや、それはそれで仕方ないことや」と従ったり、何も疑問を持たずにストーリーに乗っかったりしたことがあるかと思います。

ドラクエシリーズをやったことがない人にはそういった例を今回、僕は用意できませんけど、この小説は「我が輩は猫である」。
リュウを演じる、という意味でロールプレイング。
リュウは基本的に目です。
テレビが壊れてるんじゃない。テレビの向こう側とこっち側が壊れてるんだ。
読み手である僕らは仕方なくリュウの目線を借りるしかないんだ。
読み終えて「あーおもしろかった」ではすまなかった。
山下洋輔トリオが某大学のバリケード内で演奏している様を体育座りで没頭してる学生たちの映像が頭をよぎる。

21世紀における村上龍 2009-11-06
この小説が、何かに対しての明確なカウンターになる時代は、とうに過ぎてしまいました。
しかしながら、一周回ってこういう感性が珍重される時代になってきたのかもしれないとも思います。
村上春樹やライトノベルが売れる今、こういったビートくずれの小説が教えてくれることは多いのではないでしょうか。
何事かを成す人間は、大抵は優れたバランス感があります。A VS Bという対立軸の両方に股をかけてることができる人間こそが今の時代には必要です。

趣味を深く掘り下げやすくなって、いわゆるタコつぼ社会になってしまった現在、タコつぼから出てこないヲタクや不良には片方への理解や感性は希薄です。そういった人種には何もなせません。
「頭いい」で通ってきた未来あるクレバーな若者に、ぜひ勧めたい一冊。


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イリュージョン (集英社文庫 ハ 3-1)イリュージョン (集英社文庫 ハ 3-1)
リチャード・バック /村上 龍 /Richard Bach
集英社 刊
発売日 1981-03
オススメ度:★★★★




生きてりゃそれなりにね。 2010-01-09
神様でさえも悩む。

フツーの人間である自分たちはもっともっと悩む。

でも好きなことをしてもいいんだと思えてて来る本。

なかなか現実にはそうも行かないんですけどね(笑

悩めるときにもう一度読み返してみたい。



村上龍訳・版『イリュージョン』。 2009-11-19
あの《村上龍》氏の翻訳による、あの《リチャード・バック》の、あの伝説の名著『イリュージョン』が、本書です。翻訳に関しては、意訳が多く原作と色合いが違うという話もありますが、これはこれで楽しめる本だと思います。より原文に近い翻訳としては、同じ集英社文庫から、《佐宗鈴夫》氏による訳本も出ています。私も《佐宗》氏訳本・版を購入したのですが、時間がなくてまだ読んでいません。いずれにしても、大変素晴らしい《名著》なので、一読をオススメします。

新訳もいいですが・・・ 2009-10-16
最初にこの本を手に入れて読んだときあまりにも衝撃的だったのでその後何度読み返したかわからにほどだ。その後英語版も入手したがこの旧訳版は超訳?にも近い思い切った翻訳文があてられていることがわかった。知人にこの旧版をあげてしまい、うちには新たに新訳版がきたがあまりにも直訳的で面白みに欠けるように思えた・・・そしてまた新たに旧版を購入した。


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半島を出よ (下)半島を出よ (下)
村上 龍
幻冬舎 刊
発売日 2005-03-25
オススメ度:★★★★




おもしろかった  2008-07-19
上巻同様、北朝鮮側の面々、日本政府の面々、そしてホームレスの人々の生い立ち、キャリア、視点などが詳細に描かれ、物語の背景も細かく作り込まれている。ただ、登場人物が武器の説明を延々としたかと思うと、あっと言う間に死んでしまったり、スピード感は上巻よりも損なわれているような気もする。ボリュームの多い大著ですが、読後感は爽快。

生き延びろ。 2008-03-16
この小説は私が今まで読んだ本の中で最も感動したものの一つであるが、だからこそ読み終わった時点は、書評を書くとかそういうレベルのことができない。これは、村上龍氏の小説を読んだ直後に感じる共通の事象だ。いま、かなり長い時間を経てこの小説のことを不意に思い出し”あの、鮮明に印象に残っている文章をもう一度読みたい。”と本棚からこの本を取り出しページをめくり、線を引いた多くの箇所をたどった。その部分は、下巻142ページと159ページに記載されている、スリョン中尉の父親の言葉だった。「スリョン、よい詩を書くことができる人間になりなさい、読む人の側に立った詩を書くんだよ。」村上龍氏の小説には、暗闇の中に細く力強い一筋の光がさす部分がある。その部分に救われたマイノリティーに属する人間の数は、少なくないはずだ。

リアルな絶望感と未来への希望 2007-08-26
この「半島を出よ」という作品は、上巻と下巻で少しスタイルが違っていて、上巻が徹底的にリアルな想像を元に執筆された話であり、下巻はエンターテイメント性を重視した物語へと展開される。それ故、若干上巻・下巻で読者として戸惑ってしまう部分はあったが、全体的にとても楽しむ事が出来た。話のボリュームは多いけれど、作品通してスリリングな展開が広がり、飽きずに読ませてしまうのはやはり流石だと感じた。


この下巻は何も有効な対策が取れない日本の政府やメディア、そして諦めに支配された風潮に代わり、社会のはみ出しモノ達が北朝鮮のテロリスト達に対し、必死の抵抗を行うという話がメイン。前述したように上巻とのスタイルが少し違う為に、期待を裏切られる読者も多いかと思うのだけれど、一貫した村上龍の意志は受け継がれているし、本来彼の小説はこういった壮大なスケールをもった物語こそが持ち味だと思うので、僕自身はこういうやり方は上手くはまったというように思えた。ただ、あまりにも話に無理がありすぎる部分も多い為、以前の名作に比べると若干物語りの信憑性が薄いと感じる部分があった事も否めなかった。


物語重視故に、上巻に比べると、この下巻は魅力的な人物が多数現れる。北朝鮮軍のブレイン達、占領された福岡の果敢な人間達、そしてはみ出しモノであるイシハラグループのメンバー達。緻密な人間描写と彼らの生き様、状況が変わるにつれて変化する心理描写等、とてもスリリングで読み応えがある。傍目では優秀な人間でも、色々な葛藤や驚き、そして弱さを持っていて、そういったものに対し果敢に挑んでいく姿は、やはり美しいし、僕自身力を与えられる部分でもある。ラストがあまりにも綺麗に決まりすぎていて、何処か矛盾を感じてしまうのが勿体無いのだが、あまりにもリアルで残酷な現状を暴き出してしまった上巻に対して、未来への希望というものを村上龍自身、最後に示したかったのではないのだろうか?そんな風にも思えた。


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読書(ビジネス書・小説)・ネットサーフィン・スノボー
自己紹介:
学生の頃から村上龍のファンで「コインロッカーベイビーズ」に衝撃を受け、「五分後の世界」「愛と幻想のファシズム」「半島を出よ」などの構築系の作品が大好きです。最近の龍さんの興味は経済にシフトしていますがものすごく勉強になってます。
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